京都市左京区に位置する古物商「itou」の店景と店主・伊藤槙吾の言葉を収録した作品集。写真は画家のqpが定点観測的に撮影している。月に1度、什器ごとディスプレイを一新するitouは、物のセレクト、什器の位置や形、来店者が物を手に取り、移動させたり購入したりするなどの要素が重なり「完成」を繰り返す。毎月違う表情を見せるその店を定点観測すると次第に、空間・物・什器が織りなす曖昧なレイヤーの存在に気づく。
本書ではそんなitouの店づくりを、イメージ、台、空間、接地、物の配置、整理、値段などあらゆる要素からさぐり、その立体的な空間を、デザインと言葉からも感じられるよう表現した。グリッドを意識した正方形の製本、一度レイアウトしたものをシャッフルし、一冊ごとにランダムなページネーションにするデザイン、紙の裏写りによる表裏ページの干渉。これらはすべてitouの店内を模したつくり。店の中を回遊し、しゃがんだり立ったり、振り返ったりする動作のように、読者が本書をめくることを期待する。
本書はリソグラフの単色グレー印刷がベースとなっている。元のカラー写真から色の情報と細かい要素が削ぎ落とされることで、被写体(物や什器)のシルエット・配置がより強調される。






