Pages: 320
Format: 128×188×15㎜
Bookmaking: softcover
Copies: 2000
Language: Japanese
Publication Year: 2024
Publisher: 村畑出版
ISBN 978-4-991368-60-8

色と形のずっと手前で

長嶋りかこ
色と形のずっと手前で
Rikako Nagashima
¥2530 (税込)

グラフィックデザイナー・長嶋りかこさんによるエッセイ。出産と子育て、デザイナーとしての仕事、個人が感じる社会について。不自由さとふとした瞬間の心の機微、ままならない葛藤が臨場感をもって迫ってくる。

グラフィックデザイナーが母になったら、色と形に辿りつかない日々が始まった。妊娠してお腹が大きくなり、のそのそと歩まねばならぬ体に変化していく中で見えてきたのは、ままならない体と足並みの揃わない社会だった。育児が始まると目の前に立ちはだかる仕事と育児の両立という壁。人々の暮らしと地続きであるはずのデザインの仕事と、目の前の家事育児という暮らしの相性の悪さ。子どもの時間と、仕事の時間。子どもを通して見ている世界と、仕事を通して見えている世界。混沌とした曲線の世界と、秩序だった直線の世界。二つの間で立ち往生しながら見えてきたのは、資本主義のレースと止まらぬ環境破壊とジェンダー不平等が一つの輪をなしている景色。そして子どもが手をひいて連れて行ってくれる、土の匂いがする景色。かつて自分も知っていた、あの曲線の景色。