Pages: 32
Format: 150×215×4㎜
Bookmaking: softcover
Language: English
Publication Year: 2021
Designer: Richard McGuire
Publisher: Fotokino
ISBN 978-290-25-6516-0

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¥2580 (税込)

本書は、窓から聞こえてくるさまざまな環境音・生活音を記録したグラフィック・スコアである。グラフィック・ノベル『Here』で知られるアーティストのRichard McGuire(リチャード・マグワイア)は、ロックダウンを機にニューヨーク都心部の喧騒から逃れるように、自然に囲まれたニューヨーク北部の田舎町に居を移した。そこで彼は、窓から聞こえてくる音に意識を向けるようになる。

音は、二つの鍵盤の音色からはじまる。ページをめくるごとに鍵盤の音色は小さくなっていく。上部から鳥のさえずりが、手前からは窓を開ける音が聞こえはじめる。見開きを跨ぐようにして中央に配置された色面は、音の性格を表す五線譜のような役割を果たすも。音が大きかったり、不愉快であったりすれば、色面を占める記号心象風景としての窓を占める音の記号も大きくなる、というように。

窓から聞こえる鳥のさえずり、教会の鐘の音、車のドアが閉まる音といった、窓の外側から聞こえるもののほかに、階段を登る音、頭を掻く音、紙面に鉛筆を走らせる音といった、窓の内側で聞こえる音も登場する。音を聞く主人がマグワイアから次第に窓へと移り変わり、窓自体がある種の録音装置として機能するかのようだ。本文に登場する幾何学図形にコード化されたさまざまな音をさらった後に、表紙の矩形に満たす記譜に立ち返ってみる。一体窓はどんな音を聞いたのだろうか。