Pages: 191
Format: 100×150×16㎜
Bookmaking: paperback
Language: English
Publication Year: 2022, 3rd edition
Designer: Freek Lomme
Publisher: Onomatopee
ISBN 978-908-32-7060-9

Can You Feel It?
Effectuating Tactility and Print in the Contemporary

Can You Feel It?
Effectuating Tactility and Print in the Contemporary
¥4000 (税込)

— 世界に触れ、ものを知覚する。しかし、知覚はあっと言う前に消えてしまう。残されるのはつかの間の印象だけである。触覚はわたしたちの持ち味であるのにもかかわらず、わたしたちがそれについて知っていることはとても限られている— 本書前書きより

液晶に触れる時、その表面のガラスに触れていることを知ってはいても感じることはできない。この視覚に触覚が従属する状況には覚えはないだろうか?非物質化を指向する時代において、紙媒体の「触知性(tactility)」はどのように捉えられるのだろうか?

『Can you feel it?』は、キュレーター・編集者のFreek Lomme(フリーク・ローム)による、「触知性」を探究するプロジェクト。2015年にベルギーのアートレジデンス、Frans Masereel Centrumで行われたプロジェクトをきっかけに出版された本書は、アーティスト6人によるグラフィック制作のドキュメント、専門家による8つのエッセイ、木版印刷からリソグラフまでさまざまな印刷技術をキャラクターに見立てたユーモラスな対話から構成される。出版・展示スペース・リソグラフワークショップを行うプロジェクトスペースOnomatopeeの共同設立者でもあるロームは、自分たちが出版した本やスペースを訪れた人々から寄せられた「すばらしい手触り(wonderful tactile)」という賛辞に対して、そこで自明とされている「手触り」を一歩引いて考察する。私たちがものに触れるとき、何を感じているのか。ただ感じるべきなのか、あるいは真剣に言語化すべきなのか。そもそも「触知性」とはひとつの幻想にすぎないのだろうか。多様な印刷技術の入門書である一方で、紙媒体の同時代性を考察する本書は、私たちを印刷物と触れ合わせ、「触知性」への旅へと連れ出してくれる。