Pages: 176
Format: 188×127×23㎜
Bookmaking: softcover
Language: Japanese
Publication Year: 2023
Publisher: 編集グループSURE
ISBN None

志願兵の肖像
映画にみる皇民化運動期の朝鮮と戦後日本

¥2640 (税込)

編集グループSUREの本には口述書が多い。SUREのメンバーが、著者を囲んでその著者の話をうまく引き出す。軽やかな口語のリズムが読みやすく、小難しい問題も一気に身近に手繰り寄せることができる。それぞれの分野の入門書としても使えるだろう。もしそれを読んでみてもっと深く知りたくなれば、他の出版社から出たその著者の本を読んでみればいい。重いテーマや、分厚い研究によって構築された知や思想哲学の話を、いかに「ひらく」か。これを考えることは、本来社会のためにあるはずの研究や、人間の暮らしに活きるはずの「人文知」を、一般庶民である我々「主役」の手元に持ってきて、よく馴染むように調節するという実践でもある。本書もSUREの持ち味である口述書であり、日本の植民地支配期の朝鮮で製作された映画について、映画史家であり評論家の四方田犬彦が論じ、作家の黒川創らが聞き手を務める。

日本統治時代、朝鮮ではサイレント映画からトーキー映画へと移行が進み、多くの映画作品が製作されたが、日韓双方の社会から「負の歴史」の作品と見なされ、十分な研究がなされていない。SUREを頼りに歴史や日韓問題の入り口に立ち、当時の朝鮮映画に着目する数少ない研究者の一人である四方田氏の言葉から朝鮮人「志願兵」の描かれ方や当時の「皇民化」運動の波紋を知ることは、現代を多角的に見られるきっかけとなるだろう。

購入者特典として、雑誌『オフショア』山本佳奈子さんによる解説エッセイ付き。