共産主義を「異常」のように喧伝し、その国家に暮らす人々もまるで洗脳されているかのように色眼鏡で見て盛って報道する日本のマスメディア。そしてマスメディアを疑わない人々。島国とはえてしてそういうところなのかもしれないが……しかし、希望はある。この本は、小さな出版社から出た色眼鏡なしの「中国本」。
“中国”と冠がついているのに第3刷まで増刷され、よく読まれている。日本の書店に並ぶ中国関係の本といえば、学術書かビジネス書、はたまた反中・嫌中本か、やっと最近はSFフィクションが増えてきた。この本はそのどれにも属さない。テーマは「中国」ではなく、あくまで「人」である。中国の音楽・芸能、近代アジアの洋楽受容を研究する著者・井口淳子さんが市井で出会った一人ひとりに焦点を当てたノンフィクション・エッセイ集。購入者特典として、雑誌『オフショア』山本佳奈子さんによる解説エッセイ付き。