Pages: 320
Format: 182×135×23㎜
Bookmaking: hardcover
Language: Japanese
Publication Year: 2016
Publisher: 晶文社
ISBN 978-4-7949-6937-8

映画と歩む、新世紀の中国

¥2310 (税込)

中国映画といえば、「検閲」という日本にはない(とされる)システムの話がやたらと語られる。日本には存在しない電影局(電影とは映画の意味)という公的機関が、撮影前の脚本審査や完成した映画の審査を行なっていて、その電影局の審査を通過しなければ撮影も公開もできない法律になっている。この審査のことが、外側から「検閲」と呼ばれているものである。検閲を通すために手入れや修正された映画は、「曲げられた創作」「観るに値しない芸術」だろうか?中国映画の話題になると、多くの人が「そもそも検閲されてるんでしょ」という反応をする。検閲されたものは観る価値がないとでも言わんばかりに。確かに、悲劇的なストーリーや史実に関すること、青少年に害をあたえるとされるような行為の描写は、捻じ曲げられてしまうことも多い。が、監督や製作者たちは、我々鑑賞者の目を信じて委ねていると感じる。鑑賞者が目を見開くことで、受け取れるメッセージはたくさんある。

この本には、中国大衆映画作品と中国社会との接点がとことん網羅してある。紹介された映画作品数、約100本!もう洪水のような量で、日本では未公開の映画についてもたくさん言及されている。そしてこれらのすべてが、中国社会と紐づけて語られている。文革、戦争、出稼ぎ労働、一人っ子政策、農村問題、医療問題に炭鉱労働者。そして高齢者、華僑、家族、移民。他にもまだまだある。「中国といえば」の社会問題やトピックが山ほど詰め込まれている。

著者である文筆家・多田麻美さんは2000年から約20年間中国・北京に在住。北京の雑誌編集部に就職。その後、フリーランスのライター、翻訳者になり、各種媒体で中国やロシアの文化・芸術に関する記事やコラムを執筆。

購入者特典として、雑誌『オフショア』山本佳奈子さんによる解説エッセイ付き。