パレスチナ出身のスウェーデン人アーティスト、タリク・キスワンソン(Tarik Kiswanson)の作品集で、2022年にスウェーデンのハッランド美術館(Hallands Konstmuseum)で開催された展覧会に伴い刊行された。木炭画のドローイングや抽象的な形態の大きな彫刻、布にプリントされた平面作品やヴィデオアートなど多様な作品が展示され、作者は自身の作品について「境界、窓、虹彩と外の世界との間」と表現している。
カバーを開くと薄い包装紙のような紙から象徴的なドローイング作品が透けて見える。その包装紙は本の随所に差し込まれていて、微かに透過することでコンテンツ同士を緩やかにつなぎつつ、テンポを変える明確な境界線にもなっており、本書の中で重要な役割を果たしている。展示風景の写真は空間の広がりを生かすために断ち落としでレイアウトされることも多いが、本書の全ての写真は四方に余白が生まれるようレイアウトされており、作品写真が余白という枠の中に篭っているような印象で、外への広がりを感じる開放的な製本との対比が独特の緊張感を生む。また製本に使用している赤色の糸が本をめくっていく中で強く主張しており、白や黒またはグレーの糸の方が本や作品への没入しやすい色で、なぜ糸を赤色にしたのか興味が湧く。
作家は自身の作品について「境界、窓、虹彩と外の世界との間」と表現する。関連性のあるコンセプチュアルな種族の宇宙論を提示し、それぞれが独自に持つ言語を通じ、屈折、分裂、浮遊、混成、ポリフォニーといったテーマを探る。作者が取り組む置き換えと介在性の研究は、特に移民一世の中で何が失われ、何を得られるのかに関わっている。








