そう、私も自分がなにをしているのかわからないの。
マーストリヒトの独立系書店 Limestone Books には、書店スペースの一角に「Firebrat library」と名付けられた書棚が設けられている。「本の売買にとらわれず、自律的な知のやり取りを生み出す実験的な空間を設けること」を目的に始まったこの書棚には、地域の文化団体らによって選書された本が並び、図書カードを介して本の貸し借りが行われている。2024年に始動したばかりだが、文化的な拠点が減少しているマーストリヒトで、緩やかなコミュニティの交差点になりつつある。
本書は、その試みの一環として Limestone Books が主催した3日間のイベント「Bibliomaniac Fantasy」での対話を記録したものである。「アーカイブ」や「リーディング・ルーム」といった言葉が日常的に用いられる今、「ライブラリー」が本当に意味することとは何か。そこではどのような交換が行われているのか。and so on books、Reading Sideways Press、Printroom といった実践者たちとの対話は、本を媒介としたコミュニケーションのあり方とその先を考えるきっかけを与えてくれる。巻末には、Firebrat library に参加する団体の紹介と協働の経緯も収録されている。





