フィリピン・ラグナ州を拠点に活動するデザイナー、アーティスト、写真家であるChar Kristoffによるポスター型の冊子。植民地化前後におけるフィリピンの伝統家屋の、非公式かつ未完成な調査と題された本書は、あらゆる家屋の写真を、歴史的資料やアメリカ兵による撮影、または彼自身によって最近撮影されたものまで幅広く収録し、フィリピンの複雑な歴史的背景をアーカイブしている。
これらは植民地化による圧政への告発でもあり、身近な材料をうまく活用するフィリピン人の知恵の記録でもある。かつてフィリピンのデザイナー・アーティストユニットであるHardworking Goodlookingに所属し、現在も印刷・出版に携わる彼は、インターネットカフェとそこに併設されたコピーショップを重要な拠点と見なしている。また、彼は「POOK ARALAN UNRELEARNING」を主催し、フィリピンにおける芸術、文化、知識生産のクィア化に関する移動型学校を運営し、ワークショップや読書会をはじめ、あらゆるリソースを利用して自主的な活動と発信の方法を探っている。
Apple ChanceryやBodoni Ornamentsといった書体を使用して自国の文化を紹介する本冊子は、オープンソースとして公開された西洋の資産を、自分たちの活動に流用して位置付け直し、掲載された家屋のように身軽な再利用をデザインにおいても実践している。






