Pages: 64
Size: 210×280㎜
Format: Softcover
Language: English
Publisher: Roots to Fruits, 2025

Catalogue of Stolen Objects, Courtesy of

Mirelle van Tulder
¥4950 (税込)

本書は、NC6号「滞在」にも参加してくれた、ロッテルダムを拠点に活動するデザイナー/アーティスト、ミレーレ・ファン・トゥルダー(Mirelle van Tulder)による作品集である。

2010年以降、欧米を中心に博物館の脱植民地化をめぐる議論が活発になり、ロンドンの大英博物館、パリのルーヴル美術館、ニューヨークのメトロポリタン美術館では、一部の文化財を返還する動きが強まっている。2023年には、オランダが旧植民地インドネシアへ478点の文化財を返還した。その文化財がこれまで保管されていたのは、ライデンにある民族博物館である。

同館で研究員を務め、またグラフィックデザイナーとしての背景を持つ彼女は、アーカイブへのアクセスを活かし、かつて博物館から出版された図録に収録された図版を大胆に引用・改変して本書にまとめた。切り抜かれた輪郭だけが残る文化財の姿は、単に植民地主義を糾弾するものではない。失われた奥行きや細部に代わって立ち上がる多様なかたちは、異文化へのまなざしを離れ、私たちに浸透した歴史認識そのものを鏡のように映し返す。