グラフィックデザイナー、David Reinfurtによる講義の記録集。前書である『A New Program for Graphic Design』に続いて出版された書籍だが、本書は前書の補足でも続編でもない。あくまで収録しきれなかった講義を掲載した拡張版ではあるものの、前書と異なるのはCovid-19以後の開催という点だ。zoomの使用は学生たちとの直接の交流を阻んだが、地域を選ばずゲスト講師を召喚できる利点も生んだ。構成は前書を踏襲し、同じ頁数で3つの講義を収録している。
流通ネットワークを考察した「C-i-r-c-u-I-a-t-i-o-n」では、ジョージ・フロイドの殺害により大きく広がった抗議活動「Black Lives Matter」のグラフィック言語とシステム、修道院でシルクスクリーンを駆使し、ストリート的感性を存分に発揮したシスターCorita Kent、廃業した印刷機を引き取り、反体制表現のためのインフラを提供したコミュニティThe Detroit Printing Co-op、地球外生命体とのコミュニケーションを目指したボイジャーのゴールデンレコードを紹介。
「 M-u-I-t-i-p-I-i-c-i-t-y」は数学教授Philip Ordingとの共同講義。雪の結晶からItalo Calvinoの小説、Charles EamesとRay Eamesによる『数学展』、Ted Chiangの原作を元にした映画『メッセージ』におけるヘプタポッドの文字言語の解読に至るまで、トポロジーの視点からグラフィックデザインを考察する。「R-e-s-e-a-r-c-h」ではRobert Smithsonのスパイラルジェッティから楕円の歴史、Enzo Mariのリンゴ、アフリカ系アメリカ人デザイナー、Sylvia Harrisによる公共情報デザイン、中国の水書からVirgil Ablohへと展開していく。
Reinfurtは本書に掲げられた *Co-*を、コラボレーション以上に個人の責任と主体性が強調される実践だと語る。Stuart Baileyが呼んだ「ゴースト」はデザインの領域を指しているが、同時に彼は「ミーティングポイント」であるとも述べていた。前書でReinfurtは、本を読み終えたらすぐに破り捨て、読者は自らの手でプログラムを組み立ててほしいと望んでいた。講義を受けた学生たちが互いに意見を語り合う序文はまさしく、彼が受け渡した*共同的*で*新しい*デザインのプログラムが、すでに動き出していることを証明している。










