1990年代初頭の産業研修制度の導入以来、韓国における外国人移民の数は急増し、全国各地の都市に移民コミュニティが形成された。しかし韓国社会はこの現実に目を逸らし、多くは無関心にやりすごすことで彼らとの交流を育む機会を失っている。それゆえ移民のコミュニティはその内部で完結し、ともに同じ土地に住みながらも両者は分断されたままだ。ただ、彼らが確かに生活しているという事実は街の表面に現れる。看板に掲げられた各国語のサインは、文字を通してこの変化を可視化する。米軍基地周辺の英語やチャイナタウンの中国語のみならず、近年ではロシア語、タイ語、ベトナム語など、比較的馴染みのない言語さえも見かけるようになった。
本書はApril Snow主催のKay Junによって企画され、23回の引っ越し経験を持つChoi Yohanによって撮影された、現在の韓国の共生関係を映すドキュメントである。高濃度なインキで刷られた夜の看板は妖しく生命感に溢れ、不意にページに現れる花やグラス、回転をやめたミラーボールが、たしかに彼らが生活している痕跡を示している。表紙に掲げられたハングルは「Welcome」を意味しており、移民への捻れた感情を表しているようにChoiには映ったという。