作家が好きだったという「21世紀こども図鑑」の百科事典のような厚みの写真集。重厚感のある見た目とは裏腹に持った感じはとても軽やか。中判フィルムカメラによって撮影された全170点のカラー写真は儚さを感じる。大判の判型からは、机に置いてゆっくりと開く行為を促す。「すべての出来事を忘れたくない」とこの世に未練を残した幽霊のお散歩気分で撮影したという作家の意図を感じるかどうかは読者に委ねられる。
作家は日本と台湾を往来しながら活動する富澤大輔。版元は彼が手掛ける南方書局。デザインは富澤作品といえば明津設計。