Pages: 200
Size: 127×196㎜
Format: Softcover
Language: English
Publisher: Temporary Press, 2021

New Refuge

Czar Kristoff
¥3850 (税込)

本書はフィリピン・ラグナ州を拠点に活動するアーティスト、Czar Kristo#の個展に含まれる作品として発表された。大小さまざまなグリッドの上を手描きの線が走る。縦横無尽に動き回る描線は、どこか急いているようにも見える。パンデミックは多くの場所を奪い去った。ライブハウスや飲食店のみならず、学校や事務用品店も同様である。Czarはクローズした地元の学校などに残された、廃棄されるテスト用紙のアーカイブをはじめた。そこには走り書きや人名、不明な単語などが残されている。人々は姿を消した。しかしその痕跡は紙の上に確かに刻まれている。

はじめは方眼紙にゼロックスで印刷されていたが、本書(セカンドエディション)ではオリジナルをリソグラフで直接コピーしている。判型は初版より一回り小さいが、リサイズすることなくそのままトリミングされている。掲載されているのが図版ではなく偶然の痕跡であるため、伝わる情報に齟齬がないと判断したためであろう。ノイジーなテクスチャーと焦点距離の変化は、紙の束として時間・空間的に体験される。ページ順はそれぞれ異なる。小口に現れる模様、ページ展開におけるリズム、どれをとっても一つとして同じものはない。人々の軌跡が織りなすシンフォニーは、音楽の教科書を模した表紙と響き合う。場所や位相を変えながら、それぞれの本はすべて異なる交響曲を奏でる。